いちばん先にお伝えしたいこと

「良い姿勢で座らなきゃ」と気にかけていらっしゃる方ほど、崩れてしまうご自分を責めてしまいがちです。でも、姿勢を意識していること自体が、とても大切な一歩です。

そのうえでお伝えしたいのは、どなたでも、同じ姿勢を長く保ち続けるのはむずかしいということです。画面に集中すれば、頭は自然と前に出ていきます。夕方になって背中が丸くなってくるのは、意志が弱いからではありません。姿勢と疲れやすさの関係は「姿勢が悪いと疲れやすいのはなぜ?本当の理由」でもお話ししています。

ですので、この記事では、姿勢を意識することはもちろんのことですが、もう2つ、手を貸してくれるものをご紹介します。ひとつは崩れにくい環境(椅子・机・画面)、もうひとつは姿勢を変える回数です。環境が整っていると、姿勢を意識するときの負担がぐっと軽くなります。

なお、この記事でご紹介する高さや距離の目安は、厚生労働省の「情報機器作業における労働衛生管理のためのガイドライン」に合わせています。体格やお仕事の内容によって合う形は変わりますので、あくまで出発点としてご覧ください。

まず座り方の3つの目安

椅子や机を変える前に、いまの椅子のままでできることから始めます。

深く腰かけて、背もたれを使う

浅く腰かけて背もたれから離れていると、背中を支えるのはご自分の筋肉だけになります。疲れてくると、そのぶん丸まりやすくなります。お尻を椅子のいちばん奥まで入れて、背もたれに背中をあずけてみてください。

腰と背もたれの間にすき間ができるときは、丸めたバスタオルや小さめのクッションをはさむと、腰が支えられて楽になる方が多いです。座ると腰やお尻の奥がつらくなる方は「座ると腰が痛い・お尻の奥がつらい|仙腸関節と腰痛の関係」もあわせてご覧ください。

足の裏全体を床につける

足がぶらぶらしていたり、つま先だけが床についていたりすると、体を支える土台が不安定になり、座り直すたびに姿勢が崩れやすくなります。足の裏全体が床につくのが基本の形です。

足が床に届かないときは、足台を置いてください。専用のものでなくても、すべりにくい箱や厚めの雑誌を重ねたもので構いません。ガイドラインでも、必要に応じてすべりにくい足台を備えることが示されています。

太ももの裏にゆとりを残す

座面の前の端が太ももの裏を押していると、脚が窮屈になり、つい浅く座り直したくなります。座面と太ももの裏の間に、手の指が入るくらいのゆとりがあるかどうか、一度確かめてみてください。きついときは、椅子を少し低くするか、足台で足の位置を上げると楽になります。

椅子と机の高さの合わせ方

合わせる順番は、「椅子が先、机があと」です。ガイドラインでも、椅子の高さを合わせてから机の高さを調整するとよいとされています。

  1. 椅子の高さ/足の裏が床にしっかりつき、膝の角度がおおよそ直角か、少し開くくらいに合わせます
  2. 机の高さ/肩の力を抜いてひじを軽く曲げたとき、キーボードに自然に手が届く高さが目安です。肩がすくむなら机が高め、背中が丸まるなら机が低め、と考えられます
  3. 机の高さが変えられないとき/椅子を上げて机に合わせ、そのぶん足が浮いたら足台で補います

職場の机や、在宅でのお仕事で使うダイニングテーブルは、高さを変えられないことがほとんどだと思います。そんなときも、座面のクッションと足台の2つがあれば、かなり合わせることができます。

画面とキーボードの位置

座り方を整えても、画面が低い・遠いと、体は画面に引き寄せられてしまいます。目線の先を整えるのが、猫背になりにくくするための近道です。

画面の上の端を目の高さかやや下に

画面が低いと、のぞき込むように頭が前へ出ていきます。頭には重さがあるため、前に出るほど首や肩にかかる負担は大きくなると言われています。ガイドラインでは、画面の上の端が、目の高さとほぼ同じか、やや下になる高さが望ましいとされています。

モニター台や、厚めの本を何冊か重ねて高さを足すのが手軽です。首が前に出る姿勢が続く「スマホ首」については「ストレートネック(スマホ首)とは?原因と整え方をやさしく解説」で詳しくお話ししています。

画面との距離は40cm以上を目安に

画面が近すぎても、前のめりの姿勢になりやすくなります。ガイドラインでは、目と画面の距離をおおむね40cm以上とることが示されています。

離すと文字が見えにくいときは、画面の文字の大きさを上げてみてください。それでも顔を近づけてしまう場合は、眼鏡やコンタクトレンズが今の距離に合っているか、眼科で相談されるのもひとつの方法です。

ノートパソコンは台と別のキーボードで

ノートパソコンは画面とキーボードがひとつになっているため、画面を目の高さに上げると手が上がり、手を楽な位置に置くと画面が下がります。どちらかを我慢しながら使っている方が、とても多いように感じます。

ノートパソコン用の台で画面を上げ、キーボードとマウスを別に用意すると、画面と手の両方を楽な位置に置けるようになります。キーボードやマウスが体から遠いと、肩が前に引き出されて巻き肩につながりやすくなるため、体の近くに置くのもポイントです。巻き肩が気になる方は「巻き肩で起こりやすい不調4つ|原因と整え方をやさしく解説」もご覧ください。

書類やスマホも目線に近づける

書類を机に平らに置いて見ると、視線が大きく下がり、そのたびに頭が前に倒れます。書類立てを使って画面の横に立てると、目線の上下が少なくなります。お仕事の合間にスマホを見るときも、ひじを体に軽くつけて、画面を目の高さに近づけてみてください。

座りっぱなしを区切る工夫

どんなに整えた環境でも、同じ姿勢が続けば、体は少しずつこわばってきます。ガイドラインでは、続けて作業する時間が1時間を超えないようにし、次の作業までに10〜15分の休みをとること、さらにその1時間の途中で1〜2回、1〜2分ほどの小休止をとることが示されています。

とはいえ、お仕事中に時間どおりきっちり休むのはむずかしいものです。まずは30分に一度、姿勢を変えるところから始めてみてください。立って飲み物を取りに行く、電話は立って受ける。それも立派な区切りです。

座ったままできる動きを3つご紹介します。どれも1分ほどでできます。

  • 1肩をすくめて、すとんと下ろす息を吸いながら両肩を耳に近づけるように持ち上げ、吐きながら力を抜いて、すとんと下ろします。3〜5回くり返します。
    ポイント:下ろしたあと、肩の力が抜けた感じを少しだけ味わいます。
  • 2胸を開いて、肩甲骨を寄せる両手を腰に当て、胸を前に開きながら、左右の肩甲骨を背骨に近づけるように寄せます。5秒ほど保ってからゆるめます。3回くり返します。
    ポイント:腰を反らせすぎず、胸を開くことを意識します。
  • 3骨盤を前後にゆっくり動かす座ったまま、おへそを前に出すように骨盤を起こし、次に背中を丸めるように骨盤を後ろに倒します。ゆっくり5往復します。
    ポイント:最後は、前と後ろのちょうど真ん中あたりで止めて座り直します。

お仕事のあとなどに、もう少ししっかり体をほぐしたいときは「姿勢リセットストレッチ9選|整体師が教える全身セルフケア」をご覧ください。

※ ここでご紹介した動きは、座りっぱなしの合間に体を動かすための目安です。動かすと痛みが強くなる場合は、無理に続けずおやすみください。手や腕のしびれ、強い痛みが続く場合や、首・肩・腰の痛みが長引く場合は、姿勢以外の原因が背景にあることもあります。まずは整形外科などの医療機関にご相談ください。

当院での確かめ方

座り方は、お仕事の内容や机まわり、体格によって、合う形が一人ひとり違います。当院では初回のカウンセリングで、ふだんのお仕事の姿勢や、つらくなりやすい時間帯をうかがっています。

そのうえで、姿勢分析で立ち姿を写真におさめ、画面をご一緒に見ながら確認します。頭が前に出ていないか、背中の丸まり方、左右の肩の高さ。ご自分では見えない角度を、その場で目で見て確かめていただけます。

そして施術のたびに写真を記録して、前回と見比べられるようにしています。「座り方を変えてみたら、こうなった」を、ご自身で確かめていただく材料になればと考えています。猫背への向き合い方は「猫背矯正」のページでもご説明しています。

※ 姿勢分析は姿勢の傾向を把握するための参考ツールです。医療的な診断や疾患の特定を行うものではありません。施術方針は院長が直接お体を診た上で総合的に判断します。

まとめ

デスクワークでも猫背になりにくくするための、座り方と机まわりの整え方を振り返ります。

  • 同じ姿勢を長く保つのは、どなたにもむずかしい。意識に「環境」と「姿勢を変える回数」を足していく
  • 座り方の目安は、深く腰かけて背もたれを使う/足の裏全体を床につける/太ももの裏にゆとりを残す
  • 高さは「椅子が先、机があと」。変えられないときはクッションと足台で補う
  • 画面の上の端は目の高さかやや下に、距離はおおむね40cm以上を目安に
  • ノートパソコンは台と別のキーボードで、画面と手の両方を楽な位置へ
  • まずは30分に一度、姿勢を変える。座ったままできる動きも取り入れる

全部を一度にそろえる必要はありません。まずはクッションか足台、どちらかひとつから試してみてください。それだけでも、夕方の背中の感じ方が変わってくる方は少なくありません。

そのうえで、机まわりを整えても肩や背中のつらさが続くときや、ご自分の姿勢を一度確かめてみたいと思われたときには、いつでもお声がけください。猫背のタイプや背景は「猫背矯正の基本の「き」|タイプと原因、整え方をやさしく解説」でもご紹介しています。

この記事に関係するご案内

猫背が気になる方は、猫背矯正のページで、施術の流れや料金をご覧いただけます。 はじめての方は初めての方へもあわせてご覧ください。

※ その場で次回のご予約をお願いすることはありません。