いちばん先にお伝えしたいこと

「骨盤のゆがみ」という言葉は、いろいろな場面で目にします。だからこそ「自分もそうなのだろうか」と気になってしまうお気持ちは、とてもよく分かります。

そのうえで、正直なところを先にお伝えします。ご自身で骨盤そのものの状態を確かめることはできません。骨盤は体の奥にあり、外から見えるのは、その上に乗っている姿勢や、動いたときの体の使い方です。骨の位置そのものを調べられるのは、レントゲンなどの検査ができる医療機関だけです。

では、セルフチェックに意味がないかというと、そんなことはありません。ここでご紹介するのは、「左右で差が出ていないか」「どちらかに傾きやすくなっていないか」を見るための目安です。ご自身の体の使い方のクセに気づくきっかけとしては、じゅうぶんに役に立ちます。

もうひとつ、先にお伝えしておきたいことがあります。左右の差は、多かれ少なかれどなたにもあります。利き手や利き足がある以上、体は左右まったく同じにはなりません。ですので、当てはまる項目があっても、それだけでご心配なさる必要はありません。見ていただきたいのは当てはまった数ではなく、同じ側にばかり差が出ていないか、そしてそれが気になっている不調と重なっていないかです。

準備と、見るときのコツ

チェックの前に、いくつか整えておくと結果が見やすくなります。むずかしい準備は要りません。

  • はだしで、平らな床で行う/じゅうたんの上や傾いた床では、差が出にくくなります
  • 体の線が分かる服装で/ゆったりした服だと、腰の位置が見えにくくなります
  • 力を抜いて、いつもどおり立つ/ここがいちばんのコツです
  • できればご家族に写真を撮ってもらう/横からと後ろからの2枚があると分かりやすくなります
  • 痛みが出るところまで動かさない/つらさを感じたら、その手前でやめてください

3つめについて、少し補足させてください。ふだんから姿勢を気にかけていらっしゃる方ほど、チェックのときにも自然と背すじを伸ばそうとなさいます。それはとてもよいことなのですが、ここで見たいのはふだんの立ち姿です。この時間だけは、力を抜いて「いつもの自分」で立ってみてください。

5つのセルフチェック

それでは、順に見ていきます。5つすべてを行う必要はありません。やりやすいものから2つ3つ試していただくだけでも、気づくことがあります。

  • 1壁に背中をつけて、腰のすき間を見るかかと・お尻・背中・後頭部を壁につけて立ち、腰と壁のすき間に手のひらを入れてみてください。
    見るところ:手のひらが軽く1枚入るくらいが、ひとつの目安です。余裕をもって入る、こぶしが入りそうという場合は腰が反りぎみ、ほとんど入らない場合は背中が丸まりぎみ、と考えられています。反り腰が気になる方は「腰が重い・お腹ぽっこり…反り腰が原因かもしれません」で詳しくお話ししています。
  • 2鏡の前で、腰骨の高さを見比べる鏡の前にまっすぐ立ち、腰の横にある骨の出っぱりに左右の手を当てます。そのまま鏡を見て、左右の手の高さを見比べてください。
    見るところ:どちらかが明らかに高い、ウエストのくびれの深さが左右で違う、といった差が出ることがあります。鏡越しだと分かりにくいので、写真に撮っていただくとはっきりします。
  • 3目を閉じて、その場で足踏みをする床に目印を置いてその上に立ち、目を閉じて、腕を振りながらその場で30回ほど足踏みをします。終わったら目を開けて、最初の位置と向きからどのくらいずれたかを見ます。
    見るところ:向きが大きく変わっている、ずいぶん前や横に移動している場合は、体重のかけ方に左右差が出ているサインのことがあります。ふらつきやすい方は、壁の近くで、どなたかに見ていていただくと安心です。
  • 4よく履く靴の底の減り方を見るふだんいちばん履いている靴を裏返して、左右を並べてみてください。
    見るところ:外側だけ、内側だけ、あるいは片方だけが強く減っている場合、立ち方や歩き方にクセが出ている可能性があります。何ヶ月もかけて残された、いちばん正直な記録かもしれません。
  • 5あお向けで、つま先の開きを見比べる床やベッドにあお向けになり、足を軽く開いて全身の力を抜きます。10秒ほどそのままにしてから、両足のつま先がどちらを向いているかを見ます。
    見るところ:左右で開き方が大きく違う場合、股関節まわりの使い方に差が出ていることがあります。ご自分では見えにくい姿勢なので、こちらも写真がおすすめです。

いくつ当てはまりましたか。くり返しになりますが、数を数えることが目的ではありません。「2番と5番が、どちらも右側だった」というように、同じ側に差が集まっているかどうかのほうが、手がかりになります。

※ ここでご紹介したセルフチェックは、立ち方や体の使い方の傾向をご自身で振り返っていただくための目安です。骨盤のゆがみや症状を判定・診断するものではありません。結果から病名や体の状態を判断することはできませんので、あくまで「気づくきっかけ」としてご覧ください。

気づいたあとの考え方

差に気づいたあと、どう受け止めればいいのか。ここがいちばん大切なところだと思っています。

差があること自体は、悪いことではありません

先ほども触れましたが、左右の差はどなたにもあります。差が見つかったからといって、すぐに何かをしなければいけない、ということではありません。その差と、いま感じているつらさが結びついていそうかどうかが、考えるときの出発点になります。

不調と重なるときは、過ごし方を振り返る

「右の腰ばかり重い」「片方の脚だけ疲れる」といったお困りごとがあって、チェックでも同じ側に差が出ていた。そういうときは、毎日の過ごし方のなかに思い当たることがあるかもしれません。座り方、荷物を持つ側、脚を組む向き。このあたりの原因や習慣は、「骨盤のゆがみにつながりやすい日常のクセ|見直したい習慣」と「骨盤がゆがむ生活習慣5選|原因と今日からできる対策をやさしく解説」で詳しくご説明していますので、あわせてご覧ください。

腰の痛みとのつながりが気になる方は「腰痛の原因は骨盤のゆがみ?メカニズムと整え方をやさしく解説」を、座ったときにお尻の奥がつらい方は「座ると腰が痛い・お尻の奥がつらい|仙腸関節と腰痛の関係」を、産後の方は「産後の骨盤矯正はいつから始める?時期の目安とセルフケア」をご覧いただくと、次に見るところが整理しやすくなります。

すぐに変えようとしなくて大丈夫です

気づいたその日から全部を直そうとすると、なかなか続きません。まずは「自分にはこういうクセがあるらしい」と知っておくだけで、じゅうぶんです。多くの場合、体は長い時間をかけて今の形になっていますので、振り返るのもゆっくりで構いません。

※ 痛みやしびれが強い場合、じっとしていてもつらい場合、脚に力が入りにくい場合、発熱をともなう場合などは、骨盤のゆがみ以外の原因が背景にあることもあります。まずは整形外科などの医療機関にご相談ください。また、妊娠中の方や産後まもない方は、セルフチェックを試される前に産婦人科の先生にご確認ください。

当院での確かめ方

セルフチェックで気づけることには、どうしても限りがあります。ご自分の後ろ姿は見えませんし、「差がある気がする」というところで止まってしまいがちです。

当院では、初回に姿勢分析で立ち姿を写真におさめ、画面をご一緒に見ながら確認しています。ご自分では見えなかった角度を、その場で目で見て確かめていただけます。「なんとなく気になっていたこと」が、はっきりした形になる時間です。

あわせて、止まっているときだけでなく動かしたときの左右差も見ています。前に倒す、横に倒す、体をひねる。立ち姿だけでは分からないことが、動きのなかに出てくることがあるためです。

そして施術のたびに写真を記録して、前回と見比べられるようにしています。「変わった気がする」を目で確かめられる形にしておくこと。これが、ご自身で判断していただくための材料になると考えています。骨盤への向き合い方は「骨盤矯正」のページでもご説明しています。

※ 姿勢分析は姿勢の傾向を把握するための参考ツールです。医療的な診断や疾患の特定を行うものではありません。施術方針は院長が直接お体を診た上で総合的に判断します。

まとめ

骨盤のゆがみが気になったときの、確かめ方を整理します。

  • 骨盤そのものの状態はご自身では確かめられない。セルフチェックで見ているのは「左右差や傾きの目安」
  • チェックの前に、はだし・平らな床・ふだんどおりの立ち姿の3つを整えると見やすい
  • 5つのチェックは、壁と腰のすき間/腰骨の高さ/目を閉じての足踏み/靴底の減り方/あお向けのつま先
  • 左右の差はどなたにもある。数よりも、同じ側に差が集まっているかを見る
  • 気になる不調と重なっているときに、日々の過ごし方を振り返ってみる
  • セルフチェックはあくまで目安で、判定でも診断でもない

当てはまる項目があったから通わなければいけない、ということはまったくありません。ご自身の体に少し目が向いた、それだけでこの記事の役目は果たせています。

そのうえで、自分では見えないところまで確かめてみたいと思われたときには、いつでもお声がけください。確かめるかどうか、いつ確かめるかを決めるのは、いつでもあなたです。